『』 |
打たれた頬が熱い。 アールグレイの香りにミルクを足して、かき混ぜながら煙草に火をつけた。黒いレースカーテンからこぼれる月明かりは、夜明けが近づいていることを知らせてくれる。 カツン。ライターを投げた彼は、ブラックティーを飲んでいる。 歯に当たって切れた口の内壁がズルリと剥けていて、いちいち当たる。無理矢理に噛み切ると、口の中が血液で満たされていく。 今、口を開いたらだらり。 こぼれ落ちるだろうしかし。 さとられないように私は。 口の中にたまっていく血液を、ゆっくりと飲み下した。 |
06.4.30 |