『突破』
壊したい物がある。それは自分、といったら格好よく聞こえるだろうか。
停滞気味の雨雲。数え切れないほど小さな挫折を繰り返して何とか生きてきたけれど、手のひらにわずかに残ったプライドさえも風化して消えてしまいそうなんだ。


君が元気な笑顔を見せてくれるならば、僕は君を失ってもかまわない。もしその別れの戸気に上着の裾を引っ張ってさやさや泣いたとしても、振り返らずに立ち去るよ。
どうしてだろう。選択肢はいつも二つしかなくて、正しい答えを探せない。闇の中手探りでたぐり寄せた道さえ、間違っていやしないか。
拳の中でカサカサと、わずかなその欠片が泣いているのがわかる。振りかざすのもは持ち合わせていない。




05.11.18