冬の夜
音もなく静けさに
沈む 浮遊する 思考は定か
語り 尽くせない 出来事も
時間がすぎれば笑い話か
空気の色が 見えるまで
この場所で 佇んでいたいのなんて
固唾をのんで 見守る夜空
手を伸ばせずに 限りなく無風
喉を 通り抜ける 炭酸水
南に流れる 行方知れずの
片時も離さないでよ
顔なんて 見なくていいから
サツキ ツツジ クチナシの
甘い香りは まだ先の話
揺れ動くのは 心なんかじゃない
意志も その前に 存在しないのか
テレビの音が 邪魔をする
数え 切れない 気持ちの如く
片隅に残雪踏みつける
何も 変わらなくてもいいのだなんて
退廃じみた 嘘の山
抱きしめる 温もる かすか
うつつ 背中
瑞々しい記憶
騒音にも似たため息の数だけ
この先 あの先 曲がり角




06.1.31