箱
外を 吹き荒れる 木枯らしとともに
揺らめいている 緑の針と
こごえそうな瞳の奥に
小春日和 置き去りの残雪
重なって その日暮らしの
わびしさと 君のあたたかさで
とけあうブルー わずかにブルー
数年後 振り返った時
目の前に 存在してたなら
今し方 この瞬間を
振り返り 探り出し
判断の 答えを出すから
胸張って 語り出すから
思い出にだけはならないでくれ
汚れてしまったぬいぐるみも
与えられなかった おもちゃもすべて
君の手で 壊してもいいから
僕の手に 触れなくても いいから
ずっと 傍にいてほしいだなんて
言えないけれど 言いたいけれど
痛み分かち合った時間だけが
喧嘩腰の討論だけが
意味として連なるだなんて
考えたくない事実だけれど
これから先 遙か彼方の
未来に背伸びして 笑う僕を
静かに見守る その視線がもう
ないことには気づいているよ
流れるブルー かすかなブルー




06.1.19